ケアマネ歴12年、介護福祉士歴8年。居宅ケアマネや施設ケアマネを含み、これまで4回の転職を経験。成功した転職もあれば、失敗した転職ありました。そんな転職経験を活かすため当ブログを立ち上げました。ケアマネジャーのお仕事や転職をサポートするセミナーに多数登壇。ケアマネジャー情報雑誌に掲載実績あり。保有資格は、介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士、介護事務、ケアクラーク、他。現在は千葉県内の主任ケアマネジャーとして千葉県内の地域包括支援センターで働いています。
ケアマネジャーとして働くなら居宅と施設のどちらがおすすめ?
ケアマネジャーには大きく分けて2つの職業があります。ひとつは、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターで在宅介護の方の支援を担当をする「居宅ケアマネ」。もう一つは、特別養護老人ホームなどの介護施設に入居している方の支援を担当する「施設ケアマネ」です。
どちらも介護計画を利用者様の立場になって考えるという業務内容に変わりはありませんが、作成するケアプランの内容は全く異なります。
他にも、働き方に違いが出てきますし、自分がどちらに向いているかという性格の違いもありますので、「居宅ケアマネ」と「施設ケアマネ」のどちらのケアマネジャーになりたいかを見極める必要があります。
そこで今回は、ケアマネジャーとして働くなら居宅と施設のどちらがおすすめ?というテーマで詳しくまとめていきたいと思います
目次
ケアマネジャーの仕事は居宅と施設の2種類
まずはじめに、居宅介護支援事業所で働くケアマネジャー「居宅ケアマネ」と介護施設で働くケアマネジャー「施設ケアマネ」の違い、それぞれの業務内容や特徴について、ざっくりと整理していきましょう。
居宅介護支援事業所で働くケアマネジャー(居宅ケアマネ)
「居宅ケアマネ」と呼ばれるケアマネジャーは、一般的に居宅介護支援事業所に勤務しています。居宅介護支援事業所は、デイサービスやショートステイ施設と併設されている場合もあります。また、主任ケアマネジャーとして地域包括支援センターで働く方もいます。
居宅介護支援事業所では、自宅での生活を基本とする利用者様を対象としてケアプランを作成し、在宅での生活を継続できるようにサポートしていきます。
ケアプラン(介護計画)は、利用者様の訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、様々な事業所と連携を取りながら作成していきます。
担当する利用者様を増やす必要があるので、自ら地域包括支援センターなどに営業に赴き、利用者様を紹介してもらうといった業務も行います。
連携している事業所から紹介される場合もありますので、常日頃から関係者と連絡を取っておくと良いでしょう。
このように、居宅のケアマネジャーには、ケアプランの作成能力以外に営業能力が必要となります。
大規模な事業所であれば営業の専門担当いて、ケアマネジャーはケアプランの作成のみというところもあります。ですが、多くの居宅介護支援事業所ではケアマネジャーが営業を兼任しています。
担当している利用者様と1ヶ月に1度、必ず直接会ってその方の状態を確認しなければならないという規則もあります。ケアプランの作成だけではなく、常に外に出て利用者様のお宅を訪問しています。
居宅介護支援事業所は系列のデイサービスなどにも併設されており、担当している利用者様にそこを紹介することも可能。
ですが、事業所全体で利用者様の何割かを別の事業所に振り分けなければならないという規則があり、介護保険法に違反となり行政から指導されます。
介護施設で働くケアマネジャー(施設ケアマネ)
「施設ケアマネ」と呼ばれる介護施設で働くケアマネジャーは、特別養護老人ホームなどの入居施設に勤務して、ケアプランの作成を行います。
すでに入居されている方なので、他の事業所との関りはほとんどありません。また、ケアプランの内容は施設内でのことに限定されます。
介護施設のケアマネジャーは居宅とは違い、新規獲得のため営業活動をする必要はありません。
その代わり、ケアマネジャー業務以外にも高齢者のケアを行う介護士としての業務も行ったり、生活相談員の業務と兼務したりするケースは珍しくありません。
居宅ケアマネと施設ケアマネならどっちがおすすめ?
では、居宅ケアマネと施設ケアマネならどちらがおすすめなのでしょうか?両方を経験した私の個人的な意見を踏まえて、向き不向きという観点からおすすめをご紹介していきます。
人と関わることが得意なら居宅ケアマネがおすすめ
居宅ケアマネは、利用者様が自宅で生活できるようにサポートすることが重要な役割です。その方らしい生活(QOL)を守るために、様々な事業所と連携していかなければなりません。
そのためには他の事業所と常に連絡を取らなければなりませんし、利用者様本人とそのご家族とも密に連携しなければなりません。
利用者様たちに本当の要望を言ってもらえるように、コミュニケーションをしっかり行うことが重要になります。
ですので、人と関わることが苦手で親身になって相談に乗れないようなケアマネジャーでは意味がありません。
ご家族からも信頼を得ることができなければ、本当に困っていることを打ち明けていただけません。それでは円満なケアプランを作成することはできませんし、困ったことがあっても我慢した生活を利用者様にさせていることになります。
もちろん、適切な事業所を選択するという能力も必要となってきます。各事業所の長所や短所を知るためにも、生活相談員や他のケアマネジャーとコミュニケーションをとることは重要です。
居宅ケアマネとしての第一歩は、コミュニケーションをしっかりとることから始まるのです。
施設長やセンター長といった管理職を目指すなら施設ケアマネがおすすめ
ケアマネジャーの資格保有者の中には「受験資格を満たしたから何となく介護支援専門員の資格を取ったけど、やっぱり現場から離れたくない」という方もいることでしょう。介護の本質は現場。実際に高齢者のケアをしているからこそ得られるやりがい、経験、知識があります。
そのような場合には、特別養護老人ホームや有料老人ホームの施設ケアマネとして働くことをおすすめします。
施設ケアマネであれば、精神をすり減らす営業活動は必要ありませんし、定期的に利用者様のご自宅に訪問する必要もありません。
その代わり、施設ケアマネ業務では、介護士や生活相談員など、他の職種の業務を兼任することになります。事務作業と現場業務の二足のわらじになるため大変ではありますが、やりがいは大きいでしょう。兼務ということで給与に特別手当がつく場合もありますよ。
また、施設長やセンター長と呼ばれる管理職(責任者)を目指しているなら、総合的に高齢者介護に関わることができるケアマネジャーのポジションが有利に働くでしょう。
施設ケアマネ時代の下積みは兼務が多くて大変かもしれませんが、介護業界で高年収の管理職を目指すならおすすめのキャリアアップルートだと思います。
自分に合った働き方を選ぼう
ブログやセミナー等で「居宅ケアマネ」と「施設ケアマネ」の比較を取り上げると、
- 仕事が楽なのはどっち?
- 給料が高いのはどっち?
- 休みが多いのはどっち?
といった話題になりがちですが、その辺は求人内容によって異なるため一概には言えません。それよりも、どちらが自分に合った働き方なのか、という観点で選ぶべきだと考えます。
どちらが良くて、どちらが悪いかではなく、どういったアプローチで介護に関わる仕事をしたいで決めるのも大切です。居宅ケアマネも施設ケアマネも、利用者様と深く関わることができる仕事です。